NARUSE'S:BLOG

ハイロイン/上癮:Addictedの原作小説を和訳している男子大学生でした

第150章:見透かされていた心

バイロインはうつ伏せの状態で宿題をやっている。グーハイは、既に宿題を終わらせており、バイロインにちょっかいを出し始める。

バイロインは、今日一日全く気持ちを落ち着けることができず、今だって本来なら全く時間のかからないような簡単な数学の問題でさえ全く解けない状態だ。

そんな調子でバイロインが考えふけっていると、突然ズボンの縁に手が伸びてくるのを感じた。その手は尾てい骨から沿って下方へと下りていき、まるで猫じゃらしでお尻の隙間を擽られているかのようだ。くすぐったさのあまり、全身に鳥肌が立つ。

バイロインはグーハイの腕をぐっと掴んで、両眉を逆立てながら鋭く睨む。

「早く宿題を終わらせて欲しいんだろ?そう思うならさっさと俺から離れろ」

グーハイは考えた様子で固まった後、素直に隣に移動した。

しかし、二十分もしないうちに隣にいる”大きな芋虫”がまたくっついてくる。そして突っついたり、触ったりしてくるが、バイロインは全く反応しない。次第にちょっかいも過激さを増していく。濡れた舌でバイロインの首筋にイタズラし始めてきた。

ついにバイロインの我慢は限界に達する。

いきなりグーハイの頭に本をぶつけて、憎らしげにベッドから降りて、隣の机で宿題を再開する。

グーハイはとても退屈そうな様子で、ノートをベッドに持ってきて再度宿題を眺めながら時間を潰している。

気づけば時間はすでに夜の十一時だ。

しかしバイロインは宿題を未だに半分ほどしか終わらせてなかった。普段であれば今頃、既にベッドに横になっているはずだった。グーハイが隣でちょっかいを出すのも当然だ。彼も焦っているのだろう。

バイロインはグーハイをちらっと見る。グーハイは静かにパソコンのモニターを見つめている。何を見ているのかはわからない。

バイロインはふと、ソン警備兵との話を思い出す。帰ってきてから今に至るまで、グ夫人の死因について、グーハイがここ数年で経験したことについて……

一字たりとも落とすことなくバイロインの胸に刻み込まれている。

バイロインはため息をついた。しかし自分でも気づかないくらい軽く。バイロインは自分の異変をグーハイに気づかれるのだけは避けたかった。

宿題を終えた頃にはとっくに夜の十二時を回っていた。バイロインは浴室に行ってお風呂に入り、寝室に行きグーハイを見ると、彼のバイロインを見る目つきが幾分か怪しかった。しかし、バイロインは特に気にすることなく、ベッドに伸び伸びと潜り込んで大きなあくびをする。

バイロインが電気を消すとすぐにグーハイに手を押さえつけられた。

「起きろ」

と、グーハイが言った。

「なんだよ?」

と、バイロインが質問するも、

「起きろ!」

グーハイは語気を強める。

バイロインは理解できていない様子だ。

「寝るのが少し遅くなっただけだろ?そこまでのことかよ?」

「俺はお前に起きろって言っているんだ。聞こえなかったか?」

グーハイは突然口調を変え、冷え冷えとした彼の言葉にバイロインは極度の緊張を覚える。少しヤバい状況だと察する。

グーハイの口ぶりは全く冗談めいていない。しかし、なぜグーハイがいきなりこうなったのかバイロインには思い当たるものがない。ソン警備兵が二人で会ったことをグーハイに話すはずがないとバイロインは確信していた。

バイロインはとりあえずベッドに座る。

グーハイにバイロインをじっと見つめている。その目つきはまるでバイロインの五臓六腑をえぐり出すかのようだった。

「話せ。なんでお前はそんな気分が悪いんだよ?」

彼の言葉を聞いてバイロインはグーハイをちらっと見る。

「誰が気分が悪いなんて言った?」

「お前はまた俺になんでもないフリをするのか!」

グーハイはバイロインの首筋を押さえつけて、彼をベッドに押し倒した。そして憎らしげに言う。

「放課後から今まで、オメェはずっとこの調子じゃねぇかよ!何でもないって?」

バイロインは心臓がキュッとする。

ーーいつからこいつに俺の隠し事が通用しなくなったんだ…?

「話さないつもりか?」

グーハイの手がいきなりバイロインのズボンへと伸びていき、バイロインが注意力を失っている隙につけこんで、敏感な秘密の穴に指を押し当てる。バイロインが身をよじろうがグーハイは逃がさない。勢いよく指がバイロインの中に入っていき、その瞬間グーハイの指は内壁の温かさに包まれた。

「話すか?」

グーハイは脅迫する。

バイロインはグーハイと喧嘩するつもりはなく、彼の腕を掴んで話す。

「本当に何でもないんだって。俺に何を言わせたいんだ?」

グーハイは陰険に笑みを浮かべる。指の位置取りは完璧で、瞬く間にバイロインの急所を的確に突いてきた。

バイロインは身体を前にすくめて、苦しそうに一声唸る。

グーハイは舌で唇を派手になぞるように円を描き、艶っぽく卑猥な言葉を吐く。

「淫らなヤツだ」

バイロインはこの言葉を聞いた後すぐ、面と向かって”誰か”の手にバイロインの大きな口を叩かれた感覚がして、五本指の痕が頬に一瞬にして浮ぶ。

バイロインは何とかしてグーハイの手から逃れようと身体に力を入れるが逆に作用してしまい、二人が力比べをする度にグーハイの指が意図せずに中の”ある場所”を何度も刺激して、ただただバイロインの体力が消耗されるだけで、荒々しい喘ぎ声が残る。

グーハイは舌なめずりする。

「そうかそうか……これが欲しいか?」

バイロインは目を瞑っている。もしかしたらこうしていることが今は最善なのかもしれない。

グーハイはバイロインの身体をうつ伏せにさせて、真っ直ぐ彼に向かって正面から乱暴に挿入する。痛みに伴って快感が押し寄せ、恥ずかしさを感じながらもふしだらに、少しずつバイロインの心が痺れていく。

バイロインは腕でグーハイの頭をぐっと引き寄せて狂ったかのようにグーハイの薄い唇に噛みついて微かに血が滲んで唇を伝って滴り落ちる。

グーハイの身体は沸点へと焚き付けられ、彼はバイロインの真っ直ぐな足を自分の両肩に乗せて、バイロインの腰を大きな手で押さえて何度も何度も突いていく。

毎回、容赦することなく根本までしっかりと押し込む。そして全部引き抜くとじゅっと音を立てる。

グーハイはバイロインの痛いくらいにそびえ立っているモノを手で刺激する。指の先で頭の溝を擦るとバイロインの腰が痙攣した。

「ベイビー、旦那に犯されて気持ちいいか?」

バイロインは枕に自分の顔をぐっと押さえつけて、喘ぎ声が綿に溶けて焼けつくような熱を感じる。

グーハイがバイロインから枕を取ると、荒っぽい喘ぎ声と抑えきれないうめき声が歯の隙間から漏れ出て、耐えがたい快感がバイロインの僅かに残っている理性を全て焼き払い、口からぼんやりとうなり声が漏れ出た。

「……気持ちいい……」

 

ベッドの上で激しく揺れた後、長い間静けさが続いた。

先ほどまでグーハイは訳が分からなくなるほど気持ちよくなっていたが、今はしっかりと正気に戻っており、猛々しい男から口うるさい継母へと変身し、バイロインに詰め寄って再び同じ質問をしてきた。

「それで、なんで気分が悪そうだったんだ?」

バイロインは閉じていた目を開く。

「お前なんでまだそんなこと覚えているんだよ?」

「お前が話さないと、俺の気持ちが落ち着かないんだ」

「本当になんでもないんだ。お前の気のせいだよ」

バイロインは気だるげに話を続ける。

「職員室で二時間もパソコンに向かってタイピングしてたんだ。顔色がいいわけないだろ?」

グーハイは固まる。

「お前、俺を騙してなんかいないよな?」

バイロインは長いため息をついて、冷ややかに答える。

「これ以上この話を続けるようなら、もうお前のことを無視するぞ」

この言葉によるグーハイへの抑止力は想像を絶するほど強力で、グーハイはこれを聞いてすぐにおとなしくなった。

 

 

土曜日、バイロインはグーハイには全く知らせていない状況で、もう一度グーハイの実家に訪れていた。

ユエンがまた一人で家にいる。

ドアを開けた時、外に立っているバイロインを見て、ユエンは堪らず驚く。

「あなた……」

「ちょっと話があるんだ」

それを聞いたユエンの顔色が変わって心の中で少し心配する。しかし、最近は自分は何もしていないし、問題などないだろうと安心してバイロインを家の中に招き入れた。

「お母さんに何の用なの?」

この『お母さん』という言葉は耳に痛いのだが、バイロインはこんな些細なことにこだわっている余裕はなかった。

「グーウェイティンとの二人のことなんだけど」

ユエンはぎこちなく笑った。

「そう。ジュースを入れてあげるからゆっくり話しましょう」

バイロインはこの一人になった時間を使ってリビング全体を再度見渡す。ここにある家具はすべて年季が入っている感じがする。決して古くはないのだが、厳かな感じだ。

こういう類の物は全くもってユエンの好みではなかった。ここに置いてあるもの全てだ。ソファー、本棚、食器棚、装飾まで、ユエンの好みに合ったのものは何一つとしてなかった。あるいは彼女の物が何一つとしてなかったのだ。

ユエンはバイロインの正面に座る。バイロインを見つめながら優しく笑っている。

「なんで急に私たちに興味を持ち始めたの?」

バイロインはユエンの質問には答えず、口を開いて質問する。

「なんで部屋をリフォームしないんだ?」

「リフォーム?」

ユエンはびっくりしている。

「なんでリフォームするの?ここにある家具はどれも高価な物ばかりよ。捨てるなんて勿体ないわ」

「倉庫に預けることだって所蔵する場所を見つけることだってできるだろ?」

ユエンはしばらく沈黙した後、質問する。

「なんで突然そんなことを私に聞くの?」

「俺はただ、他人の愛情と温かさが深すぎるこの場所で、アンタの性格に合わないなって思っただけだよ。それともこういう風に他人のものを横取りするのが好きなのか?」

ユエンは失笑する。笑ったあとに哀愁漂う表情になる。

バイロインは滅多にユエンのこんな表情を見たことがなかった。彼の中でユエンの表情には決まりがあって、得意げな笑顔以外は失意の咆哮であり、こういった曖昧で深い意味を持つ表情は稀である。

「私も変えたいのよ。でもここは人の家だから。家具を全部変えたところで、床と壁を張り替えたところで結局変わらないのよ。どの部屋が誰の部屋なのか、どの部屋にもすでに名前が入っているわ。私はただ掃除に入るだけ。私には資格がないの」

「じゃあなんで引越さないんだ?彼ほど力のある人間なら新しい家を建てることくらい、造作もないだろ?」

「引っ越したら、彼は帰って来なくなるわ」

バイロインは心が冷える。

「なんで従軍しないんだ?部隊についていけばいいだろ?」

「一体どんな身分で彼と一緒に兵営に入ればいいの?結婚証明書があれば、陰で私のことを指摘してくる人たちに堂々と立ち向かえると思う?」

「何が苦しいんだ?」

「私は彼を愛しているの」

この話がユエンの口から出てきた時はおかしかったが、ちゃんと考えてみればおかしなことは何もなかった。バイロインとグーハイ、二人の男が今日まで歩いてこれたのだ。そう考えれば何も馬鹿げた話でもないだろう。

「二人の馴れ初めを聞かせてくれよ」

 

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続きが気になる終わり方が増えてきましたね。

てか、グーハイという方は、喧嘩するとすけべスイッチが入るタイプの人なんですか?私、気になります。

PCのモニターを見ていたグーハイはまた”復習”でもしてたんですかね。

バイロインさんはもう完全にドネコに調教済ですね。グーハイさん、恐るべし。

 

第150章というキリの良い章まで来ました。

第一部は全208章なのであと58章で第二部に接続されます。

何もなければ年内にドラマ以降部分は完結できると思います。

これからも良かったら気長にお付き合いください。

 

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