NARUSE'S:BLOG

ハイロイン/上癮:Addictedの原作小説を和訳している男子大学生でした

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

第15章:素晴らしい一日

十二月二十五日をもってグーハイの会社は正式に休みに入った。 一年間、この会社という鳥かごに閉じ込められていた若い雛鳥たちは全て業務から解放され、各々好きな場所へと羽ばたいていった。 ディシュアンも同じく解放されたのだが、相変らずバイロインは…

第14章:感傷的な夜

会社の向かいにある喫茶店でエンはグーハイが来るのを待っていた。 「母親の容態はどうだ?」 エンはやつれていて、瞳に映る生気も普段とは違っていた。 「....よくないの。もう臓器にまで転移していたわ。医者はもう救いがないと、痛みを和らげる事しか出来…

第13章:争いは激化する

グーハイは会社から出て駐車場へ向かおうとした時、偶然バイロインがいつも乗っている車を見つけ、自分の会社のもとに来ていたことを知る 「なんで.....」 グーハイは愛する人の突然の来訪にテンションが上がってしてしまう。 にやけそうになる顔を必死に抑…

第12章:積極的な美女

三日後、バイロインは忙しい中、休暇をもらってお見合いの席に着いていた。 今回の見合いはだいぶ意味を持つものになるのだろう。 見合い相手の女性は予定より早めに喫茶店に入って窓側の席を選び、外の景色を眺めて高鳴る胸を鎮めようと努めていた。 軍用車…

第11章:見合い

ジャン・ユエン(バイロインの母)はグー・ウェイティン(グーハイの父、ユエンの再婚相手)に勧められるまま軍区域内に住み始めてから七年程になる。 その間バイロインと彼女が会う回数は決して多くなかったが、時にはユエンが息子を想い素性を隠して愛する…

第10章:二人の家

バイロインはわざと冷たい声でグーハイの質問に答える。 「あんなに美味しい餃子は食べたことないな」 バイロインはグーハイの深い色をした瞳を、近くにあるこの綺麗な横顔をじっと見つめる。 その美しい線が輪郭を形成し、キャンバスに整ったパーツを描いて…

第9章:グーハイの思惑

翌日、リュウチョウは昨夜出会った男こそが隊長がこの前資料を見て気になっていた相手だった事に気付いた。 「まさか。あいつがグーハイ...?あの敏腕若手社長の...?」 その言葉を聞いて笑いながら 「そうだよ。あのグ・グループの御曹司さ」 と聞きたくな…

第8章:あいつの部屋

バイロインの黒い瞳は、氷の刀を二本鋭く光らせてグーハイを見る心の投影のようだった。 「ここまで一緒に来て、いろんな話をしたんだ。最後の俺の言葉は信用出来るものじゃなかったか?」 いつもは皮肉屋のグーハイが、真剣な顔つきでバイロインのことを見…

第7章:協力関係

リュウチョウは何枚にも重なった大量の資料を抱えて研究室に入る。 部屋の中にはバイロイン隊長と数名の主要な技師たちが一枚の図面の前に立って、真剣に何かを討論しているようだった。 机の上には食べかけのパンと一杯の冷たくなったお茶が置かれてあった…

第6章:不思議な世界

「畜生?俺がか?」 グーヤンの凍てつく視線が 「俺は確かにやってはいけないこともしてきたかもしれない。けど、どれだけお前に尽くしてきたと思ってるんだ?」 攻撃的な口調が 「お前を傷つけたこともある、親父の事だって...でも、お前が傷ついた時に世話…