NARUSE'S:BLOG

ハイロイン/上癮:Addictedの原作小説を和訳している男子大学生でした

2020-01-01から1年間の記事一覧

第62章:スリリングな逃走劇

二人の部下が急いで元の場所に戻ると、そこには至る所に大量の血が床に飛び散っていた。 三十人以上の男たちが囲って殴っていた中心にはグーハイだけでなく、先ほど自分たちにグーハイの居場所を教えてくれた副社長の姿も見受けられた。 「お、おい!!」 「…

第61章:全てが明るみになる

ゴロゴロゴロ... 「...ペッ」 グーヤンは取調室から出てきてずっと歯を磨いているが、あの屈辱的な味が口の中から消えてなくならないでいた。 「くそっ!!」 思わず握っていた歯ブラシをぶん投げそうになった自分がいたが、理性でそれを抑える。 トイレから…

第60章:二人の取っ組み合い

カメラ越しで散々騒いだ後、落ち着いたグーハイから突然『インズ、お前痩せたろ?』と虚を突かれる一言が。 「き、気のせいだろ?」 そう言うバイロインの目線は上下左右を泳いでいた。 「最近は高カロリーなものばかり食べてたんだぞ!...どうして痩せられ…

第59章:一目惚れ

グーヤンの会社に十日ほど滞在したグーハイは、大体全てのことを把握していた。 自分の義兄の会社のモノにも関わらず大型の機械設備から事務の備品に至るまで、気に入ったものを見つけると、その全てを自分の会社がある北京まで輸送する日々。 そんな中唯一…

第58章:責任転嫁

部屋から飛び出して数刻、グーヤンは歩いて元の部屋へと帰っていく。部屋に入る前、窓の外から見えたバイロインはソファにもたれかかり、全身で疲労を体現しているようだった。 しかし、顔半分は暗闇に隠れ、もう片方が淡い光に照らされて疲労を感じさせるそ…

第160章:恩を仇で返すな!

食事を終えて、北京電影学院の美女が去ってすぐ、萌萌(モンモン)のあの艶やかで滴り落ちそうな顔はたちまち凶暴なものへと変貌していた。 「クソ、窒息死するところだった!次はこんなことのために僕を頼らないでよ!」 ヨーチーはハハハッと笑い、ヤンモ…

第159章:ヤン家の勇猛な将軍

ヨーチーはアメとムチを使い、ついにヤンモンを説得してみせた。 土曜の午後、ヨーチーはヤンモンを連れて化粧品店を訪れていた。 店の中に入ると、中性的で男性か女性か判断のつかないスタイリストが二人、こちらのほうに向かってきた。声は少し野太いが、…

第158章:恥をかかせる

あっという間に時間は流れ、気がつけばもう五月になっていた。 気温も上がり、暑くなってきたので、この日は二人で珍しく熱心に衣替え準備に取り組んでいた。冬用の厚手の布団と服を全て仕舞い、暑くなっても平気なようにしていた。 ところが翌日、そういう…

第57章:より深く、酷く。

グーヤンがドアを破壊しながら荒々しく出ていくのを眺めながら、頭の中で白くもやがかかりながら「これで解決した」と思い込む。 しかし、これは序章に過ぎなかった。 次の日、グーヤンはグーハイの会社へと向かってはグーハイの名を偽り、様々な備品を壊し…

第56章:全くもって理解ができない

暫くバイロインの顔を見つめた後、胸ポケットから取り出した例の眼鏡を顔の前にチラつかせる。 「バイロイン。...お前は俺の心を酷く傷つけてしまった」 「あなたにも心があるんですね」 「どうして心が無いと思うんだ?」 グーヤンはバイロインの頬に爪をた…

第157章:小さな強敵

バイハンチーが部屋から出ていった後、グーハイはバイロインの布団の中に潜り込み、手でバイロインの足を包む。バイロインは最初、必死にグーハイの手を振り払おうとしていたが、段々と足の裏が温まってきて、身体全体が気持ち良くなり、無抵抗のバイロイン…

第156章:お前はあいつを酷い目に遭わせたか?

グーハイはそのままジェンダーチェンの家に直行した。 グーハイは伯父に対してなんの感情も抱いておらず、彼が生まれてから現在に至るまで、ジェンダーチェンと会った回数も二、三回程度だった。 グーハイのお母さんがチェンの話をしていなければ、そもそも…

第155章:見守っていて下さい

バイロインと連絡が取れなくなった後、グーハイはまずバイハンチーに連絡をした。すると、二日間バイロインが実家に帰っていないことが分かった。 グーハイは様々な方法でバイロインのことを探した。しかしバイロインからの連絡は一切なく、バイロインと連絡…

第154章:浮かび上がってきた真相

バイロインはこのまま我慢を続け、最後はいつの間にか寝ており、目を覚ますとすでに夜が明けていた。オッターハウンドが少し離れたケージの中でバイロインのことをじっと見つめている。 バイロインは目を除いて、身体のパーツをどこも動かすことができなかっ…

第153章:抱きしめてくれ

バイロインはジェンダーチェンの屋敷に向かっていた。 中庭の隅にある小さな庭園を抜けると、林の中で鳥と虫の鳴き声が混ざりながら耳に響いてきた。そうして歩いているうちに、ついにバイロインはジェンダーチェンの中国式の豪邸の前に大きくそびえ立つ正門…

第152章:謎を解明する糸口

ソン警備兵がバイロインを見てまず最初に口にした言葉。 「最近はそんなに暇なのですか」 バイロインはカバンからネックレスを取り出してソン警備兵に見せた。 ソン警備兵はあっけにとられながらバイロインに尋ねる。 「これは一体どういう意味ですか?」 グ…

第151章:怪しい物を発見する

「私とグさん(グーウェイティン)が知り合ったのは四年前よ。その時は私の人生の中でも一番辛かった時期でね、全国各地を巡っていたの。どこに行きたいのかも分からない、何をしたいのかも分からない状態で。そして私はアモイ(厦門:中国の都市)で五つ星…

第55章:罪は何かしらの形で返ってくる

夕食の時間になろうとしていた時、勢いよく玄関のドアが開かれる。 グーハイは片眉を上げてうるさく開いたドアの方を横目で見る。そこには、眉が凛々しく整った青年がリビングの入り口に立っていた。 「ああ、おかえり。早くこっちに来なさいトンテン」 バイ…

第54章:夫婦は実家へと帰る

バイロインの実家へと向かう車内、後部座席にでかい態度で座るバイロインの方を向く為に後ろへと忙しく何度も首を捻る。 「なぁ....なに買っていったらいいんだ?」 「買うぅ〜....?」バイロインは目線を斜にして思慮する「何も必要ないだろ」 「それは駄目…

第150章:見透かされていた心

バイロインはうつ伏せの状態で宿題をやっている。グーハイは、既に宿題を終わらせており、バイロインにちょっかいを出し始める。 バイロインは、今日一日全く気持ちを落ち着けることができず、今だって本来なら全く時間のかからないような簡単な数学の問題で…

第149章:探りを入れてみる

ソン警備兵はバイロインがまさか自分を誘ってくれるとは思ってもみなかった。彼は一度しか会っていないこの青年に対してずっと興味を抱いていた。ソン警備兵自身、ユエンと会うことは少なく、彼女については聡明な女性だと知っていたのだが、バイロインに関…

第148章:幸せそのもの

帰路の途中、グーハイがバイロインに質問する。 「飯、何食いたい?」 バイロインは長く考え込むも思いつかず、ただ答える。 「任せる!」 「じゃあラーメンはどうだ?」 バイロインは困った表情をして、眉間を十字に結んでいる。 「別の物には出来ないか?…

第53章:明らかとなった真相

重ねて確かめ合ったベッドの上、隣で疲れ果てたバイロインが寝ている間にグーハイはユエンに電話をかけていた。 『もしもし?シャオハイ?』 普段は掛かってくるはずのない息子からの電話に、電話越しでも緊張の様子が伝わってきた。 グーハイは喉を鳴らして…

第52章:恋敵再来

「こんなに寒いんだ、部屋に戻るぞ」 グーハイはバイロインを立たせようとして、腕を引っ張る。 「ほら、話は聞いてやるから。ここは寒い、部屋で話そうぜ?」 しかし、バイロインはグーハイの手を払い除けて頑なにこの場から離れようとしない。 「いいんだ…

第147章:もっとお前のことを知る

疲れていたせいか、バイロインは風呂から上がって間もないうちに眠りについていた。 グーハイはバイロインが寝ている隙に彼のお尻を開いて見てみる。 幸いなことにも少し腫れているくらいだったので、あらかじめ買っておいた薬を塗って、安心した様子でベッ…

第51章:汚れちまったこの魂は

この数日間、バイロインはずっとグーハイの側で過ごしていた。 何度も部隊へ戻ろうと試みたが、それら全てはグーハイによって阻止され、強制的に滞在を続けさせられている。 グーハイの言い分としては、“ちびインズ”が痛々しくて見てられない。それが回復す…

第50章:ドッペルゲンガーの喜劇

リョウウンの鋭い眼光が、訓練場で列をなす兵を一掃する。 煌々と暗闇を照らす照明が、リョウウンの瞳に赫く反射して、沈黙を貫く彼らの姿を網膜に映しあげる。 高台に坐するリョウウンは、ある男の報告を目を閉じ、黙って待つ。 いくら待っても報告があがっ…

第49章:お持ち帰り

電話が切られた後、中々寝付けないでいた。 バイロインのことを考えれば考えるほど、段々と心配になっていき、気づいた時には衝動的に車を運転していた。 足元を照らさなければ先が見えぬほど、深い夜。 愛する嫁の部屋の前に到着したグーハイは、ドアを開け…

第146章:使命を果たす

グーハイは瓶の中に残っているローションをすべて自分のモノに垂らしてしっかりと馴染ませる。そしてバイロインの腰を押さえて深く息を吸い、ゆっくりとバイロインの中に挿れていく。 その瞬間、バイロインは閉じていた目を大きく開く。歯を食いしばり、呼吸…

第145章:奇跡を目撃する時が来た

バイロインは実家に逃げ帰ったあの夜の時点で、いつかこの日が来るのだと予感していた。グーハイが選んだのはもう後戻りできない道だ。バイロインがいつまでも主導権を握っていることはあり得ないのだ。グーハイから逃げるということは即ち関係の解消を意味…