NARUSE'S:BLOG

ハイロイン/上癮:Addictedの原作小説を和訳している男子大学生でした

第80章:俺は、ずっと想っていた。

海淀分署花園路警察署では、警察官のグループが机を囲んでトランプをしていた。 「おい! 遊ぶのはそこまでにしろ!!」 チャオ班長は声を張って呼びかけ、急かすように手を叩く。 「仕事だよ!ほら、早くカードをしまいなさい!!」 面倒くさそうな表情を浮…

第79章:束の間の再会

最近、就寝前の習慣になってることがある。 「今日はどうだ...」 回線を繋いで、グーハイが経営する会社のホームページを検索するバイロイン。 グーハイと会うことが出来ない日々の気晴らしか、毎晩会社が運営するホームページを開いては動向を気にかけてい…

第78章:ただ愛しているだけ

酔いも回り、二人の会話はより砕けたものへと変わっていく。 「電話で出なかっただけで怒ってるぅ!??」 呂律が上手く回らないトンの投げかけに、緩みきった瞳で肯定する。 「ああ、そうだよ。...しかも、その後謝りにわざわざいったんだ。なのに、あいつ…

第77章:仕事狂

バイロインに会えず帰宅してからというもの、グーハイは全てを忘れるように仕事に没入し、狂った生活を送っていた。 社員も彼の溢れるエネルギーに置いていかれないよう必死になっていたが、グーハイの仕事量はその誰よりも上回っている。それは、数多の書類…

第76章:愛されるということ

グーハイは応接室でずっと待っていたが、返事はいつも同じもので、最後まで彼に会えることはなかった。 「...くそ」 無機質な時計の針が、ゆっくりと音を立てて聞こえてくる。 自分がどれだけ深い傷を負わせてたかを理解するには、十分すぎるほどの時間だっ…

第75章:グーハイの苦悩

執務室のドアノブに手をかけて、トンは心配そうに振り返る。 「...今日もここに居るのですか?」 「ああ」 トンの言葉が本当に耳に入っているのか、どこか生半可な声で返事をする。 「はぁ、もう一週間もこの調子ですね...」 そう言って部屋から出ていくトン…

第74章:変わってしまったのは

部隊が閉鎖訓練基地に到着したのは、夜も深くなった頃。移動する車内では、多くの人が夢の世界に誘われていた。 バイロインは運転席のすぐ後ろに座っていたが、所定の場所に到着するや否や、後ろの席で船を漕いでいた部下に張った声で呼びかける。 「起きろ…

第73章:本気の怒り

グーハイの会社に着くと、バイロインは真っ先に受付嬢の元に駆け寄る。 「すみません、ここの社長に会いに来たのですが...!」 「あ、バイロインさん。社長ですね、わかりました。」 そう言って受付嬢は直ぐに受話器を手に取り、耳にあてた。 「もしもし?」…

第72章:理解できない男

毎朝、エンはグーハイのいる執務室に赴いては点呼(打个卯=軍隊式のような言い方。現代でいう挨拶のようなものだと考えて下さい)をする。いつしか、それが彼女の習慣になっていた。 彼女はどんな些細なことーーその大半はグーハイに会う事を目的とした、報…

第71章:今日のトップは...

帰宅したのちに晩ご飯を食べ、二人で部屋の片付けをしていると、グーハイはバイロインのベッドの下にある謎の箱を見つけた。 「...なんだ?」 ベッドの下から引っ張り出して覗いてみると、箱の中には沢山の本が入っている。 その殆どが経営やら交渉術に関す…

第70章:新しい副社長

「ねぇ、聞いたぁ? 今度ウチに入る幹部の人、男らしいよぉ」「嘘よ〜。だって、入社した時に女性しか雇わないって社長本人が言ってたじゃない」「めちゃくちゃ才能があったりして!」「まあ、どちらにせよ社長が連れてくる人ってだけで楽しみよねぇ」 エン…

第69章:厳格さ、崩壊。

二人が揃った週末、グーハイは餃子を作って食べることにした。バイロインが隣で餃子の皮を一生懸命作ってくれているが、皮を伸ばす作業が遅すぎて多少の苛立ちを覚える。 「俺の作る餡がどんどん溢れちまうじゃねぇか」 そう言ってバイロインを押し出し、結…

第68章:お前のためにできること

軍の宿舎に無事帰ることができた二人。 バイロインの部屋の扉を開くと、中から異様な香りが漂ってくる。「おい、ちゃんと窓開けて換気してるか?」 鼻をつまみながら部屋の中に入り、バイロインを注意する。 「お前の言う通りに、毎日開けてるって」 そう窓…

第67章:お前は最高なやつだよ

バイロインは、少し離れたところで腰ほどの高さになっている倒木の上に座っていた。 片足を畳んでは腿を成長した胸に当て、顎を膝の上に置いては不貞腐れたような表情をしている。自由に伸ばしたもう片方の脚が、ぷらぷらと宙を動いていた。滅多見せない表情…

第66章:和解

全てを言い終えると、胸の中のもやが晴れていく気がした。 ーー八年も我慢したんだ。 一呼吸ついた時、鼓動が早くなるのを感じる。グーヤンは長い間沈黙していたが、バイロインを見る目は先程までの嘲笑を含んだ瞳ではなく、一種の優しさのような印象を感じ…

第65章:バイロインの言葉

墜落している最中、バイロインは心の中でグーヤンに対しての罵詈雑言が止まらない。 ーーあいつ...。なんで俺のズボンを引き裂いたんだよ。あー、やばい。痛ってぇ グーヤンから逃げる際に引き裂かれたズボンの隙間から、極寒の風が皮膚に突き刺さっていた。…

第64章:激闘!空中戦!!

グーヤンが出て行きしばらくすると、今まで動こうとしなかったリョウウンが重い腰をあげて入り口へと歩み出す。 「何をするつもりだ?」 リョウウンを警戒する武装した看守二人が、入り口の扉を隠すようにリョウウンの行く手を阻む。 「手助けをしてやるんだ…

第63章:息子との別れ

戦闘機に乗り込もうとするバイロインを急いで阻止する隊員たち。 もう少しでコックピットに乗り込めるが、それを二人の隊員に足をひっぱられることで出来ずにいた。 「くそっ」 眼下に見えるまりものような黒い球体ーー部下の頭を力一杯蹴り飛ばす。 「邪魔…

第62章:スリリングな逃走劇

二人の部下が急いで元の場所に戻ると、そこには至る所に大量の血が床に飛び散っていた。 三十人以上の男たちが囲って殴っていた中心にはグーハイだけでなく、先ほど自分たちにグーハイの居場所を教えてくれた副社長の姿も見受けられた。 「お、おい!!」 「…

第61章:全てが明るみになる

ゴロゴロゴロ... 「...ペッ」 グーヤンは取調室から出てきてずっと歯を磨いているが、あの屈辱的な味が口の中から消えてなくならないでいた。 「くそっ!!」 思わず握っていた歯ブラシをぶん投げそうになった自分がいたが、理性でそれを抑える。 トイレから…

第60章:二人の取っ組み合い

カメラ越しで散々騒いだ後、落ち着いたグーハイから突然『インズ、お前痩せたろ?』と虚を突かれる一言が。 「き、気のせいだろ?」 そう言うバイロインの目線は上下左右を泳いでいた。 「最近は高カロリーなものばかり食べてたんだぞ!...どうして痩せられ…

第59章:一目惚れ

グーヤンの会社に十日ほど滞在したグーハイは、大体全てのことを把握していた。 自分の義兄の会社のモノにも関わらず大型の機械設備から事務の備品に至るまで、気に入ったものを見つけると、その全てを自分の会社がある北京まで輸送する日々。 そんな中唯一…

第58章:責任転嫁

部屋から飛び出して数刻、グーヤンは歩いて元の部屋へと帰っていく。部屋に入る前、窓の外から見えたバイロインはソファにもたれかかり、全身で疲労を体現しているようだった。 しかし、顔半分は暗闇に隠れ、もう片方が淡い光に照らされて疲労を感じさせるそ…

第160章:恩を仇で返すな!

食事を終えて、北京電影学院の美女が去ってすぐ、萌萌(モンモン)のあの艶やかで滴り落ちそうな顔はたちまち凶暴なものへと変貌していた。 「クソ、窒息死するところだった!次はこんなことのために僕を頼らないでよ!」 ヨーチーはハハハッと笑い、ヤンモ…

第159章:ヤン家の勇猛な将軍

ヨーチーはアメとムチを使い、ついにヤンモンを説得してみせた。 土曜の午後、ヨーチーはヤンモンを連れて化粧品店を訪れていた。 店の中に入ると、中性的で男性か女性か判断のつかないスタイリストが二人、こちらのほうに向かってきた。声は少し野太いが、…

第158章:恥をかかせる

あっという間に時間は流れ、気がつけばもう五月になっていた。 気温も上がり、暑くなってきたので、この日は二人で珍しく熱心に衣替え準備に取り組んでいた。冬用の厚手の布団と服を全て仕舞い、暑くなっても平気なようにしていた。 ところが翌日、そういう…

第57章:より深く、酷く。

グーヤンがドアを破壊しながら荒々しく出ていくのを眺めながら、頭の中で白くもやがかかりながら「これで解決した」と思い込む。 しかし、これは序章に過ぎなかった。 次の日、グーヤンはグーハイの会社へと向かってはグーハイの名を偽り、様々な備品を壊し…

第56章:全くもって理解ができない

暫くバイロインの顔を見つめた後、胸ポケットから取り出した例の眼鏡を顔の前にチラつかせる。 「バイロイン。...お前は俺の心を酷く傷つけてしまった」 「あなたにも心があるんですね」 「どうして心が無いと思うんだ?」 グーヤンはバイロインの頬に爪をた…

第157章:小さな強敵

バイハンチーが部屋から出ていった後、グーハイはバイロインの布団の中に潜り込み、手でバイロインの足を包む。バイロインは最初、必死にグーハイの手を振り払おうとしていたが、段々と足の裏が温まってきて、身体全体が気持ち良くなり、無抵抗のバイロイン…

第156章:お前はあいつを酷い目に遭わせたか?

グーハイはそのままジェンダーチェンの家に直行した。 グーハイは伯父に対してなんの感情も抱いておらず、彼が生まれてから現在に至るまで、ジェンダーチェンと会った回数も二、三回程度だった。 グーハイのお母さんがチェンの話をしていなければ、そもそも…