NARUSE'S:BLOG

ハイロイン/上癮:Addictedの原作小説を和訳している男子大学生でした

第47章:粗悪品

「何だ。そこに突っ立ってないで、お前も座ったらどうだ?」

話に来たのだと言い、リョウウンは勝手に椅子に座る。

バイロインも椅子を持ってトイレの前に陣取る。馬鹿な誰かが、勢いに任せて飛び出してくるのを防ぐ為だ。

「何でそんなところに座るんだ?」

本当のことなど言えないバイロインは、苦しい言い訳で話を逸らそうとする。

「...トイレの匂いを嗅ぐのが好きなんです」

「なら、トイレの中で話し合おうか?」

「大丈夫です!!」バイロインは慌てて首を横に振る「一人で楽しませてください!」

バイロインの意図が読めずに不思議そうな表情を浮かべるリョウウン。眉を八の字に傾けてバイロインを見つめていたが、しばらくしてその口を開いた。

「グーハイに会ったんだ」

「え?」

バイロインの思考は、彼がここに訪れてから混乱しっぱなしだった。

ーー今なんて言った?グーハイに会ったって?...本人は後ろに居るのにか!?

 

トイレの中から話を聞いていたグーハイは、自分の名前がリョウウンの口から出てきたのに反応してドアノブに手をかける。

開けようと回したが、反対側からの圧力で上手く扉が開かない。

箸一本ぶんほどの隙間が開いた時に、リョウウンが言葉を紡ぐ。

「今は俺の事務室にいる」

 

バイロインはその言葉でほっとした。

ーーよかった。...グーヤンのことか

勝手に開いたトイレのドアを不思議に思い、リョウウンは視線を後ろに向ける。

「何でドアが開いているんだ?」

バイロインは苦笑いを浮かべながら「風じゃないですか?」と言い返す。リョウウンもそれに頷くだけで、それ以上追求してこなかった。

「どうして今、あなたの部屋に彼が?」

「ああ、それなら。今日、お前の部屋から出てきた所を襲ったんだ」

バイロインは驚愕の表情を浮かべ、一瞬でそれを隠す。

ーー不憫すぎる...

グーヤンは、グーハイにボコボコにされただけでなく、帰り際にリョウウンに拐わられたらしい。

流石のバイロインでも、彼がかわいそうに思えてきた。

バイロインの一瞬の変化を見逃さなかったリョウウンは、宥めるように付け加える。

「大丈夫だ。彼はお前の弟らしいし、“大事に”してやってるよ」

リョウウンが意味する“大事に”と言う言葉は、その本来の意味を持たないことくらい、バイロインは身をもって知っていた。

しかし、意識を自分たちから逸らすために、バイロインは全力でリョウウンの意見に賛同する。

「師長、俺のことは気にしないでください。...これはあなた方二人の問題です。俺が手を出すなんてあり得ませんから」

「でもな...お前たち二人はとても仲がいいと聞いているし」

まだ探りを入れるリョウウンに、瞬発的に否定する。

「別に特別な感情なんて持っていません!...しかも、血の繋がった本当の兄弟ではありません。あいつとは十七の時に初めて出会いましたし、そこから俺はすぐに軍に入っています」

「そうか。...それなら安心したよ」

リョウウンは優しい笑みを浮かべる。バイロインはその表情に警戒心を抱いてしまう。彼がこんな表情をするときは、大体嫌なことが起こる前兆だからだ。

「あなた達二人の関係を応援します!本当に、絶対に!俺が関わることはないので!」

リョウウンは満足そうに笑う。

「よく理解してるみたいだな。...前にお前にちょっかいを出していたのは、つまりはそう言うことだったからな!」

我慢ができなくなってきたグーハイは、力を込めてドアノブを回す。しかし、バイロインが必死に押さえ込んでいる為、バンバンと開いてはすぐに閉じる。

「どういうことだ?」

リョウウンはまた、バイロインの後ろの扉を見つめる。

「か、風ですよ」

リョウウンとバイロインはお互いに顔を合わせて笑い出す。だが、バイロインの背中は冷や汗でびっしょりと濡れていた。

「お前の部屋は風が随分と強いんだな」

「つ、強い風が吹くと、邪気が飛ぶって言いますからね...」

「...やましいことでもしているのか?」

笑っていたリョウウンだが、その目は鋭さを保っていた。

ボロが出るのを恐れ、バイロインは話を逸らす。

「グ、グーハイは大丈夫なんですか?...まだあなたの部屋にいるのでしょう?」

「心配ない。眠ってるよ」

バイロインは心の中で舌打ちをする。

ーークソッ。まだ居座る気かよ

 

「あいつは...傲慢だからな。しっかりと調教してやらなきゃいけない」

バイロインは首を縦に振って、彼の話を肯定する。

「そんなに才能がないくせに、いつも偉そうな態度をとってやがる」

ドアの内側から物凄い圧を感じるが、バイロインはそれを必死に押しとどめる。

「そ、そうですよね。...あいつは少しだけ陰険ですから」

 

文句を言いながらも、グーハイの話をするときのリョウウンは、目が輝いていた。

「少しだ?...少しじゃないだろう!? あいつは腐った大根だ!性根から腐ってやがるんだ!...でもな。それを少しずつ調教していくのが楽しいんだよ。俺に歯向かう態度に興奮するんだ。...あいつも、俺の手にかかれば高麗人参のようにしてやるさ!」

リョウウンは自分の性癖を声を大にして語る。バイロインは止まらない冷や汗をかきながら、必死にドアを押さえていた。

「よし!もういい、話せてよかったよ。お前もゆっくりと寝ろ」

ーーやっとかよ...

「は、はい。師長もいい夢を」

リョウウンは入り口に向かう途中、バイロインの側を通った瞬間で足を止める。

バイロインの顔はさっと青くなった。

「ちなみに、お前は潔癖症だったりするのか?」

バイロインは機械的に首を横に振る。

「そうか?...今の若い奴らは、公衆トイレにも入ったことがないと言うボンボンばかりだ。トイレの匂いが好きだなんて物好きは、若い奴らの中ではお前くらいだろ。....ここにきたついでだ。その自慢のトイレを拝見させてもらうよ」

「…え?!」

リョウウンはバイロインを押し退けてトイレの中へと入っていく。

ーー終わった。

バイロインが絶望するなか、想像とは違ってトイレの中からは「ジョボボ」という音が聞こえてくるだけだった。

不思議に思ってトイレの中を覗くと、リョウウンは電気を付けずに便器に向かって立って用を足していたのだ。

グーハイはその巨体ながらも上手くドアの隙間に隠れ、リョウウンに気づかれていない。

グーハイの存在に気づくことなく、リョウウンは水を流してチャックをあげる。

「じゃあ」

そう言って部屋を後にした。

 

 

ドアが閉まる音を確認して、トイレの隅から出てきたグーハイ。トイレの入り口にはバイロインが申し訳なさそうに立っていた。

「ごめんな。我慢してもらって」

「こんなに悔しい思いをしたのは初めてだ」

バイロインは片眉をあげて、グーハイの胸を軽く叩く。

「まぁまぁ。将来の高麗人参さんよ。心を清らかに、な?」

「俺のことをよく知らないくせにあんな事言いやがって!...それに、俺のことを人参と例えやがったな?!」

そう言うと、グーハイは自分のバスローブの紐を外して下半身を露わにする。

「俺は人参なんかじゃねぇよ!」

「ふざけるなって!」

バイロインはグーハイの紐を元に戻し、手を引っ張ってトイレから引き離す。

「ここのトイレは不吉な場所だ。ここにいると、変なことに捕まっちまう」

「お前も何かあったのか?」

ああ、と言いながら素直に頷く

「ここでお前に仕返しをするために、アレをしてたんだ。そしたらお前の兄貴が来て捕まったんだよ」

酒は人の判断を鈍らせる。いつもなら絶対口にしない愚痴も、ツルツルと口から出てきてしまう。

「だから、あのセットがあったわけか...」

グーハイは冷たい笑みを浮かべていた。

バイロインが申し訳なさそうに額をグーハイの胸に擦り付ける様子から、純粋な誠実さを感じられた。

頭を撫でてやり、よいしょと言ってバイロインを抱きかかえる。そのままベッドへと運んで、その上へ下ろす。

そして、服が入った袋を持ってきて一つずつ外に出していく。

「これは?」

「お前が送ってきた衣類を洗濯してやったんだ」

服を全部取り出すと、最後に四角いボックスが出てきた。

「開けてみてくれ」

渡されたボックスを開けてみると、中からは変な形のものが出てきた。触り心地がそこそこいい。

「何だ、これ?」

グーハイはイヤらしく満面の笑みを浮かべ、ゆっくりと吐き捨てる。

「お・と・な・の・お・も・ちゃ」

「...ッッッ!!!」

それが何かわかった瞬間に、手に持っていたそれを床に投げつける

「一人で遊んでろ!!」

「俺も一つ持ってるさ。」

そう言って自分の物も見せる。

「これはお前専用に設計した、特注品だ。今度喧嘩した時でも、これがあれば寂しくなくなるんだろ?」

グーハイは床に落ちている“おもちゃ”を拾うと、機能を説明し始めた。

「このスイッチを押すとな、上の段から口の形がした突起が出てくるんだ。他にも機能があって、ここを押すと...」

「ちょっと待て!!」バイロインはグーハイものと見比べて違和感に気づく。

「何で俺のだけ男性器の形がついてるんだよ!」

「俺には必要ないからだけど?」

 

「何でだよ!!」

バイロインは自分だけ“受け”だと言われているみたいで、不満なオーラを全開にする。

「何で俺のにあって、お前のにはないんだよ!...趣味品にまで差をつけるなんて、良くないぞ!」

「まぁ、待て。よく聞けって」

グーハイはこの素晴らしいおもちゃを推しているようだった。

「これは俺らの愛のカタチだ。この男根は俺のサイズと同じだし、この口の形は俺の形状をキレイに模った一級品だぞ?」

「...お前の会社が作ったものなのか?」

「ああ、主な設計者は前にお前も会ったことがある、あのニューハーフだ。あいつはこの方面で天賦があったみたいだな」続けて機能を説明する「このスイッチを下に押すと、振動し始めるんだ。俺の動きに合わせて周波数を設定しているが、お前の好みに合わせて振動の激しさは操作できる」

バイロインは嬉々として説明するグーハイをみて、先ほどから頬の痙攣が止まらないでいた。

「そんなものいるかっての!」

「一回使ってみろよ。この素晴らしさに気づいたら、いらないなんて言えなくなるぜ」

「話にならない!」

バイロインはそう吐き捨てて、布団を頭まで被る。

しかし、グーハイも強情だ。布団を剥ぐと「使えって!」と強要してきた。

「使わない」

「使えよ!...何でグーヤンには見せたのに、俺には見せてくれないんだよ?!」

「は?あれは偶然見られただけで、見せたわけじゃない!」

「なら、今回も偶然見られてると思ってさ、ほら」

バイロインは言葉が出なくなる。

ーーグーハイ。お前のその欲は何でそこまで強いんだ?

バイロインが動かないのを見て、グーハイは叱られた犬のような心に訴えかけてくる表情をしてくる。

「もしやってくれたら、もっと美味しいものを作ってやるのになぁ....」

ぐちぐちと言うグーハイに負け、バイロインはそれを使うことにした。

まだズボンを脱いだだけだというのに、グーハイの瞳はギラギラと輝いていた。

「おい!」手を伸ばしてくるグーハイを追い払う「自分でやる。手を出すな!」

渋々手を引っ込めたが、最近のグーハイは自分の欲を理性で押しとどめることが難しくなってきていた。

グーハイを目の前にして、自分のモノにそれを嵌め込む。スイッチを押すと、滑りをよくする液体が分泌し始め、軽く振動し出した。

バイロインは歯を食いしばってしばらく我慢していたが、最終的には気持ち良さに抗えず、魅惑的な声をあげてしまう。

「どうだ? 良いだろ?」

「んッ....きも..ちい....!」

バイロインの常軌を逸した色気を前にして我慢などしておける筈もなく、グーハイはその機能を最大限使おうと手を伸ばす。

「待ってろよ、もっときもちよくさせてやる」

グーハイはスイッチの段階を上げる。

すると、振動がそれに合わせて激しくなった。バイロインは、経験した事のないそれに敏感に反応してしまう。

ある程度モードを上げていくと、あるところからパスワードが要求された。

機能の限界を守るためのものだったのだろう。しかし、興奮して冷静でないグーハイは、もっと善がるバイロインを見たいが故に、適当にそのパスコードを打ち込んだ。

振動はさらに激しさを増す。

バイロインは局部から感じる快感が、次第に痛みへと変化していることに気づく。

「グーハイ!...なんか、痛い!待って!」

バイロインが股間を抑えて額に大量の汗をかいているのに気づき、焦ったグーハイは停止しようと色々と触る。

しかし、一度リミッターを外してしまった機械を停止させるためにも、再度パスワードを入力しないといけないようだった。

色々と試してみたが、全てのパスコードが間違い、バイロインの痛みは激痛へと変わっていった。

抜こうにも、しっかりとバイロインのそれを包み込み、締め付けている為、人の手では抜けない。

「何だ!これは!?」

バイロインは苦しみから、グーハイの腕を強く掴む。その苦しみは、爪の食い込み具合から容易に察することができる。

「この馬鹿野郎!....痛いッ.....グーハイ。お前....こんな粗悪品を作りやがって!...クソやろッ!!...痛いんだよ!!」

バイロインの悲鳴が響いた。

 

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TENGAを超える、機械仕掛けのおもちゃ。

ははーん。....は?

ごめんなさい。うまく想像が出来なくて、ほぼほぼ直訳気味です!意味が分からなくても、そーゆー感じの物なんだな、って思っていただけると助かります(笑)

 

:naruse