第145章:奇跡を目撃する時が来た
バイロインは実家に逃げ帰ったあの夜の時点で、いつかこの日が来るのだと予感していた。グーハイが選んだのはもう後戻りできない道だ。バイロインがいつまでも主導権を握っていることはあり得ないのだ。グーハイから逃げるということは即ち関係の解消を意味する。
バイロインはグーハイとの関係を終わらせたくなく、頭の中で様々な矛盾が幾重にも絡み合う針金のようにねじれている。
そのねじれは解くことが出来ず、切っても切れることはない。そしてそれに少し触るだけで胸が締め付けられて痛む。
バイロインはグーハイの肩に頭を垂らして力なくもたれかかる。この男を直接二つに割って食べることができたなら、彼に食べられる心配もないし、彼が自分の元から去っていく心配もなくなるのに。
グーハイはバイロインの顔を両手で支えながら自分の肩から自分の正面に持っていく。自分と向かい合わせて寵愛の眼差しで見つめながらも心の中で不満を垂れる。
ーーこの悪ガキめ…!一日中俺のことをこんなにも苦しめやがって…でもよ、見ているだけで美味そうなんだ…食べたくても口には入らない…お前のことは憎めないんだ…!一体俺はどうすればいいんだよ?
バイロインもグーハイのことを見つめながら心の中で悪口を言う。
ーーこの食いしん坊め…一日中食べることばかり考えて…もっと口が小さければよかったのにな。そんなに大きくなったら俺はいつかお前のことを支えられなくなるぞ!
二人は二分ほど心の中で罵り合った。
そして恥ずかしそうに抱き合いながらキスをする。男の薄い唇同士がくっついている。優しさとロマンチックさには欠けるが、激しく燃え上がる炎のように熱くなる。無精ひげ同士が擦れ、顎から生まれた電流が胸に伝い下腹部へと集まりそこから爆発するように身体中に弾けて散っていく。
長い間我慢し続けていた”食いしん坊”はすぐにバイロインに飛び掛かる。
グーハイの手がバイロインの服の裾に伸びていき、平らな下腹部を伝って股の間に手が置かれる。柔らかな布越しにバイロインの満ち溢れた生気を感じる。
身体が一瞬にして沸点に達する。
男の荒い喘ぎ声がリビングルームに響き渡る。その声は情欲を煽り、グーハイの理性を狂わせる。
しかし突然、グーハイが手の動きを止めて淡々と言う。
「風呂に入ろうぜ」
バイロインはまだ物足りていない様だ。
グーハイが続けて話す。
「別にお前に無理強いをするつもりはない。それにお前があれこれ策を練って俺を苦しめたからな。俺も疲れているんだ。今日は風呂に入ってぐっすり眠ろう」
グーハイはそう言い終えると浴室に向かって歩き出す。バイロインはゆっくりとグーハイの後ろをついていく。異様な目つきでずっとグーハイのことを見つめ、突然大股で追いかけて風呂場にいるグーハイの首を後ろから腕で締め付けて冷たい声で尋ねる。
「俺のことをその気にさせておいて?その後は放置するのかよ?」
グーハイは待っていたと言わんばかりだった。
「…お前がついてくるって分かってたぞ」
そう言って急に振り向いて風呂場のドアを閉める。
バイロインはまだ怒りが収まらない顔をしていたがすでに同意しているとグーハイは確信していた。
二人はとりあえず一緒にシャワーを浴びることにした。
「背中を流してくれよ」
グーハイはバイロインに目を向ける。
しかしバイロインはグーハイを無視して、シャワーを手に持ってゆっくりと自分の身体を洗っている。
すると突然、グーハイがバイロインの身体の前に躍り出る。そしてバイロインからシャワーを奪い取り、水圧を最大にして”ちびインズ”を攻撃する。
突然勢いのある温もりが脆く敏感な部位に集まり、大きな手のように優しく愛撫する。
バイロインの足が震えて体を後退りさせる。こんな激しすぎる刺激はごめんだ。
しかしグーハイも逃がすまいと素早く手を動かして、至近距離でシャワーの水を当て続ける。バイロインはその結果、後退りを続けて背中が冷たい壁に触れ、激しく震えて呻き声をあげる。
グーハイは軽薄に笑みを浮かべている。
「いやらしい声だな…もう一回聞かせてくれよ」
バイロインは手を上げてグーハイに一矢報いてやろうとする。しかしグーハイに勢いよく捕まってもう一方の手と一緒に頭の上に押さえつけられてしまう。
グーハイは少し身を屈めてバイロインの首筋から舐め始める。ゆっくりと時間をかけて、頭から流れてくる水と一緒に舌で愛撫する。胸の周りからわきの下、腰へと下に行って下腹に…
バイロインの股の間の濃密な毛は水の流れに沿ってサラサラとしている。グーハイの舌がその中を横切り薄い唇に何本か毛が絡まる。歯で軽く引っ張り侮辱的な悪い目つきでバイロインのことを見上げる。
バイロインは集中的な痛みと痺れを感じ、羞恥心に打ちひしがれる。荒々しく呻きながらグーハイの頭を押さえつける。
グーハイのことはお構いなしに彼の口の中に押し込む。それを引っ張られて痛みが走る。
しかし耐え忍びながら快感を享受するバイロインの表情はとても生き生きとしていた。グーハイは自分のモノに触れていないのにどんどん大きくなっていく。
ジメジメとした二つの身体が水のブラシによって擦られて下半身が熱を帯びていく。二人はお互いに身体を擦らり合わせ、キスをしながら下半身に刺激を与え合っている。喘ぎ声が水の流れに合わせて淫声は交響曲を奏でてお互いの鼓膜を刺激する。
「ベイビー、お前が欲しい」
グーハイはバイロインの手を取って自分の燃えているかのように熱い分身の上に置いて、自分がどれほど今我慢をしているか伝える。
バイロインは何も言わず唇だけ動かす。
グーハイはバイロインを抱きしめて長い時間かけてキスをする。まるで声のない約束のように、今回はきっと優しくするから、絶対に優しくするからというかのように。
大きなベッドにうつ伏せになり、目の前に置かれた色んな味のローションを見てバイロインは自分が処刑場にいる気分になる。
グーハイはその中から小さい瓶を手に持ち、蓋を外して中身を少し手に取る。
”教科書”に書かれていたことを頭の中で繰り返し、実践する。根気強く入念に行わなくてはならい。決して焦ってはいけないのだ。
しかし、このゆっくりとしたリズムがバイロインに強い精神的ストレスを与えていることに気づかない。
バイロインはずっとグーハイが本番を始めるのを待っており、心拍数は180まで跳ね上がる。ギュッと息を吸ってベッドの下に潜り込もうとし始める。
「おい、逃げるな!」
グーハイはバイロインの片足を掴んで引き戻す。しかし心の中で何度も自責する。一体何が彼を驚かせてしまったのか。
ーーこれが終わったら自分の顔に往復ビンタしてやる、大口叩いておきながら情けないな…!
バイロインは枕で頭を押さえて、もうどうにでもなれという顔をしている。
それを見てグーハイがどうしたものかという顔をしている。
「ちょっとくらいリラックスできないか?」
しかしバイロインにはもう何を話しかけても聞こえていないようだ。
全身を強張らせていつ痛みが来てもいいように背筋に力を入れて備えている。
グーハイは両手をバイロインのお尻に軽く置いて、優しくマッサージしてバイロインの緊張した筋肉をほぐす。しかしバイロインは相変わらず力を入れているため逆効果だ。
緊張すればするほどグーハイはさらに大きな力を使ってこの肉を緩める。力比べになって最後は痛くなりバイロインは大声を上げて叫びベッドをひたすら叩く。
グーハイは目の前のこのお肉が自分がこねて紫色になっていることにやっと気づく。そして額に汗が浮かぶ。やっと己の犯した罪の深さに気が付く。
「もうあの日のことを考えるのはやめてくれ。これを俺たちの初めてにしようぜ。ダメか?」
グーハイはバイロインの汗がにじみ出ている鼻先にキスをして小さな優しい声をかけた。
それを聞いてバイロインの気持ちはようやく落ち着きを取り戻していく。
グーハイはバイロインの背中に沿ってキスをする。尾骨のところで注意しながら円を描く。
それにバイロインはなんとも言えないくすぐったさを感じて腰が痺れる。
バイロインはこの”不調”をなんとかするべく身体を少し動かす。するとさらにくすぐったくなり、骨に小さな電流が流れ続けてピリピリと刺激されているようだった。
バイロインはベッドシーツをぐっと引っ張って荒い息が口から漏れ出る。大脳皮質が熱い波に包まれる。
グーハイはバイロインのお尻を歯を立てる。緩急をつけながら軽く、そして強く。早くめたり、遅くしたり。
バイロインは自分の脚が激しく震えるのを感じる。そしてグーハイはもう頃合いだと感じ、バイロインのお尻を開いて舌で入り口付近を舐める。そしてゆっくりと中心を舌を舐め回す。バイロインは恐怖を感じながらも期待している。両手で握りしめられたシーツに細かい折り目ができる。
ついにグーハイの舌の先が入り口を突いて強く中に押し入ってくる。その瞬間一筋の協力な電流が駆け巡りバイロインの足の指先が痙攣する。腰をピンと伸ばして思わず声が漏れ出る。
ーーどうせ後で俺に痛みを与えるんだ。何も今、俺を気持ちよくさせる必要があるのか?俺をわざと天国から地獄に突き落とすつもりか?
グーハイは再び手にローションを垂らす。そして彼の注意をそらすためにバイロインのモノを刺激しながらローションで濡れた指をゆっくりと後ろに挿れていく。すぐに暖かい内壁に指がピッタリと包まれる。
グーハイはそっと動いてバイロインに笑いながら尋ねる。
「どうだ?嘘じゃなかっただろ?少しも痛くないだろ?」
こんなすぐ、こんなに楽に入るものだろうか。そうじゃない。まずサイズが全く違う。バイロインが首をひねって確認すると指一本だった。
指一本程度で何を誇らしげに言っているのだろうとバイロインは怒った様子で首を戻して心の中で叫ぶ。
ーーまだ早いだろ!我慢するのはこれからだろ!
グーハイが二本目の指を入れようとしたところ、大きな反発力を感じた。そしてバイロインのお尻を軽くポンと叩く。力を抜いてリラックスするように促す。
バイロインは歯を食いしばりながら黙り込んでいる。
身体の準備はできていないのにグーハイはローションを注ぎ垂らす。
バイロインのモノへの刺激を強める。バイロインがホッと一息ついているうちに一気に勢いで二本目の指を挿れる。
「どんな感じだ?」
それに対してバイロインは正直に答える。
「気持ち悪い感じだ。少し張った感じがする」
グーハイは自信満々で返す。
「安心してくれ。すぐに良くなるから」
そう言って呼吸のリズムに合わせて指をゆっくりと動かし始める。リズムをつけてゆっくり、そして早くする。
バイロインはだんだんとこの刺激に慣れてきた。
不快感は次第に薄れていき、一種の奇妙な感覚が込み上げてくる。
気持ちいいかどうかは分からないが、少なくともそれは嫌な感覚ではないということははっきりと分かった。
グーハイはすでに血が湧き立っており、指を奥に入れる度にバイロインの温かさを指で感じている。良く知る快感が脳裏を駆け巡る。あの死ぬほど気持ちいい感覚を再び味わいたいと心から渇望している。
ーー焦るな…本には三本指が入るまで拡げないといけないって書いてあったよな…
これはせっかちなグーハイにとっては耐えがたい拷問のような我慢比べだった。
三本目を入れて数分間拡げたのち、バイロインの我慢は限界に達していた。首をひねってお願いする。
「なぁ、一本抜いてくれないか?」
グーハイは苦い顔をしている。やっと思いで入れたというのにまた抜いてくれという。
ーー俺の息子を殺すつもりか?
「もうちょっと我慢してくれよ。すぐ良くなるから」
グーハイは辛抱強く”ちびインズ”の機嫌を取ってバイロインの口を塞ぐ。
そして二分が過ぎた後、すべての準備が整う。
グーハイは目をゆっくりと閉じる。そして再び開かれたその瞳はキラキラと輝いていた。
「奇跡を目撃する時が来たぞ!!」
___________________________
※一部の表現の改変について
「バイロインはこの”不調”をなんとかするべく身体を少し動かす。するとさらにくすぐったくなり、~~~」に続く文章が集合体恐怖症を殺しに来てたので改変しました。
以下カッコ内、原文訳版です。範囲内を選択することで浮き出ます。
※集合体恐怖症の方は見ない方がいいです。
「バイロインはこの”不調”をなんとかするべく身体を少し動かす。するとさらにくすぐったくなり、まるでアリがびっしりとバイロインの骨をかじっているかのようだった。」
明日投稿する分も全編すけべですので読む際はタイミングにご注意ください。場合によっては社会的な死が訪れます。気を付けてね!
:hikaru