NARUSE'S:BLOG

ハイロイン/上癮:Addictedの原作小説を和訳している男子大学生でした

第71章:今日のトップは...

帰宅したのちに晩ご飯を食べ、二人で部屋の片付けをしていると、グーハイはバイロインのベッドの下にある謎の箱を見つけた。

「...なんだ?」

ベッドの下から引っ張り出して覗いてみると、箱の中には沢山の本が入っている。

その殆どが経営やら交渉術に関する本で、残りは商業の雑誌が少しばかりあるだけだった。

「これは...殆ど限定版...?」

その本は通常で出回っているような代物ではなく、グーハイはバイロインがどのように入手したのか、わからないでいた。

「...おい。お前、こんな本を読んでんのか?」

グーハイの手元にある本を見て、少し苦い表情を浮かべるバイロイン。

「まぁ。暇な時に少し、な」

グーハイは手に持っていた本をしばらく眺めていると、急に口を開きだす

「インズ、本当はまだビジネスをしたいんじゃないのか? 本当は部隊にいたくないんじゃないのか?...今から転職をしても遅くない。俺が手を貸してやる」

「...お前は突然変なことを言い出すな」

バイロインはカラカラと笑う。

「そんなこと、考えたこともなかった」

「じゃあ。なんでこんな本なんて買ったんだよ?」

バイロインはしばらく黙っていたが、諦めたように口を開いた

「...お前に買ったんだ」
「俺に?!」グーハイは驚きの声を上げる「じゃあ、なんでくれなかったんよ?」
「...買ってきて自分で読んだんだ。そしたらどれも似たような事ばっかり書いててさ。...あげる意味ないんじゃないかって思ったんだ」

グーハイはバイロインのことを愛している。

彼のその真っ直ぐな表情も、困ったような表情もどちらも大好きである。だが、それと同時に自分を困らせるような、感情を簡単に左右させてしまう力も感じていた。

だから今回のどこか陰りのある表情も、グーハイは気になって仕方がなかった。

「でも、どうして俺に本なんかを?」

「それは...。お前、自分の会社を上場させる気はないのかよ?」

バイロインはグーハイの執務室に入った時、それに関する資料を見つけ覚えていた。そして、グーハイの経験不足を恐れ、肝心なところで失敗するのではないかと心配していたのだ。

「...インズ」

グーハイがいきなり抱きつこうとしたので、バイロインは全力でそれを拒む。

「警告だっ!俺に欲情するなっ!...今のうちに言う事を聞いておいた方がいい!」

バイロインはグーハイが自分に飽きてしまうことを恐れていた。このような事を繰り返せば、いずれ体の関係で冷めてしまう。

だが実際は、グーハイに求められるのが嫌なわけではない。むしろ、彼が欲情している姿を見ると自分も興奮する。そして、気づいたら自分の方から体を差し出しているのだ。

「興奮してるんじゃない。ただ、本当の気持ちを伝えに来たんだ」

そう口では否定しながらも、自分のものをバイロインへと擦り付ける。
バイロインから抵抗されようが、本気で嫌がっていない彼の力などグーハイにとっては何の邪魔にもならなかった。

しかし、ドアの近くを度々部下が通りかかるので、その足音を聞く度に気持ちが冷めていく。

「...グーハイ。やっぱりやめよう!俺は明日からまた訓練があるんだ」
この話を聞いた瞬間、今まで喧嘩の材料になってきたことを思い出し、グーハイは苛立つ心を必死に鎮める。

「...この前聞いた話ではまだ先だったろ?何でまた急に明日になったんだ?」
「命令が更新されたんだ。出発は明日の夜だが、詳しい時間はまだわからない。...安心しろ、仕事に行く前にお前のところによって一緒に飯を食べるさ」

「インズ...」

グーハイはバイロインの頭の後ろへ大きな手を回し、それをゆっくりと自分の肩に引き寄せて強く押し付ける。
「寂しすぎる...。俺ら、たった数日しか一緒にいられなかった」

バイロインは「そうだな」と言いながら顔をずらし、逞しい胸板へと頬を擦る。

「でも、これも将来俺たちがずっと一緒に居続けるための試練さ。...優秀な成績を残せば、昇進も早くなる。そしたら、俺の権力も強くなって、誰にも邪魔されない二人だけの時間を作れるはずだ...」
「そうだな。そしたら、俺もお前が居ない時間を有効的に使って会社の整理でもしておくさ。...面倒ごとは全部片付けて、お前を待ってる。」
そう言いながら、グーハイは額へと軽い口づけを落とした。

 


「そうだ」

バイロインは何かを思い出して、戸棚から袋を取り出してグーハイに投げ渡す。

「ほら、これでも食って頭よくしとけよ」

飛んできた袋を受け取ると、それは意外にも重く、大体5キロほどあった。

「何だ?」

袋を開けて中身を確認すると、そこには大量のクルミが入っている。
「こんなに大量のクルミをどうしたんだ?」

グーハイの疑問に笑って答えるバイロイン。

「午前中に訓練の一環で大量のクルミを用意してだな、午後にそれを全て割ってやったんだ」
「訓練?まさか...何で割ったんだ?」

バイロインは片手をヒラヒラとさせると「自慢の拳さ」と言った。
その言葉を聞いてグーハイは顔色を変える。

「ちょっと見せてみろっ!」

グーハイの気迫にバイロインが慌てて口を開く。

「待て待て!俺がやったんじゃなくて、俺の部下たちがやったんだ!今日の午後に拳を鍛える名目で訓練をしたんだ!...へへっ。俺も意外とやるだろ?」

ニヤニヤと見つめるバイロインに釣られて、グーハイの口角がゆっくりと上がっていく。

「ほう。俺の奥さんは訓練で公私混同をしてるみたいだなぁ?...部下に何も聞かれなかったのか?」
「...聞かれたさ」
「何て言ってたんだ?」グーハイは笑いながらバイロインの耳元へと口を近づける「旦那の為にやらせているんだって伝えたのか?」

冗談を言うグーハイの息子を膝で押し退け、唇を尖らせる。

「言うわけないだろっ。...お前の兄貴にあげるためって言ったんだ」

「...何だよ、それ」

今度はバイロインがニヤけた顔を浮かべていた。

 


夜も深くなり、二人で映画を観ていた時。バイロインは手に持っていたリンゴを数回上へ放り投げては、口をひらく。

「なぁ、グーハイ。リンゴを食べないか?」
前に大量のりんごをグーハイが剥いて食べさせてくれたことを思い出し、バイロインも自分が剥いたものをグーハイに食べさせたいと思ったのだ。
「俺が剥いてやる。お前は明日から大変なんだ。今は何もしなくていい」

バイロインの思いとは裏腹に、グーハイがそう提案してきたので面白くない。

「いい。俺が剥いて食べさせてやるんだ。」

「だから、俺がやるって...」

バイロインの手から取ろうとした瞬間、それを阻止して包丁を取りに行き、剥き始めるバイロイン。

「どんな形がいいんだ?何でもできるぞ」
そう言いながらウサギの形を想像してりんごを削り始める。

ザクっ!!

バイロインの手捌きは危なっかしく、とてもどんな形でも作れると豪語していた男の動きには見えなかった。

「ほらっ!できたぞ!」

そう言って渡されたのは限りなく長方体に近いリンゴ。

ーー何だ?四角く切ろうとしたのか?

幸いにも、グーハイに何を作るのか言っていなかったため、バイロインの想像していたものからどれだけ乖離しているのかはバレずに済んだ。
「...どちらにせよ酷いな。」

そう言って、バイロインが持っていた果物ナイフを奪い取る。

「もういい、俺がやる。俺の方が綺麗に剥けるからな。食べ物を粗末にしないで済む」
グーハイがそう言うので、バイロインもどんなものが出来るのか興味が湧いてくる。
「どんな形でも出来るのか?」

「ああ、何でもできるぞ」

ーーだったら何があるか...

バイロインが一番好きなものは何かを考えている隙に、グーハイは手早く作業を終えて理想の形をつくり出す。
「ほら、できたぞ」

そう言って渡してきたものを受けとうとした瞬間、途中まで伸びかかっていたバイロインの腕が急停止し、小刻みに震え出した。

「...このッ。馬鹿野郎!クソ野郎!エロジジイめ!!」

バイロインが急に怒った理由はそのリンゴの形にあった。

なんと、そのリンゴはバイロインの息子に限りなく似た形をしていたのだ。

「お前が好きなのはこれじゃないのか?あ、何だ。もし俺のやつを想像してるなら無理だぞ?このリンゴじゃ小さすぎて再現できないからな!」

そう言って笑うグーハイとは対照的に、バイロインはすっかりやつれた顔をしていた。

 


先程の流れから、二人はベッドの上で戯れついていた。

ただの戯れ合いが甘みを深めていった時、バイロインはグーハイの耳を唇で優しく挟みながら、耳元で呟く。

「明日から俺は体を酷使するんだ。今日は俺が上をさせてくれ」
「ああ、お前がそうしたいなら好きにしたらいい」

今日のグーハイはかなり寛大な様子だ。

グーハイの返事を聞くや否やバイロインは気持ちが昂り、興奮して表情でグーハイの口を塞ぐ。

そのまま流れるようにバイロインの舌がグーハイの鎖骨のところまで滑り、しばらくその太い首に吸い付くようなキスを浴びせた後、更に下側へとゆっくり降りていく。

バイロインは器用に手を使ってグーハイのシャツのボタンを外し、露わになった立派な大胸筋の突起を求めて舌を這わせる。

グーハイもまた、バイロインの髪をくしゃくしゃに掴みながら快楽に身を委ねていた。

ボタンを全て外して、その鍛え上げられた鋼のような肉体美を見てバイロインが思わず「本当にかっこいいな」と溢す。
グーハイにとってバイロインの心からの賞賛は滅多にないため、このような夜の運動で溢す自分への甘い言葉は、最高の快楽になっていた。

 

ベルトを取ってズボンを脱がせたら、そこにはバイロインが求めていたものがテントを張っていた。

ーーさっきのリンゴとは比べ物にならないな...
バイロインが美味しそうに口に含むと、それを上下に動かし始める。

グーハイの呼吸はバイロインの動きに合わせて荒々しく吐き出されていた。
「気持ちいいか?」

バイロインがそう聞くと、グーハイはビクッと反応して腰を浮かせる。

「お..い、咥えながら喋るなよ」

そう言うと、バイロインの頭を掴んでもっと激しく奥まで咥えさせようとした。

「ンッ...!!」

一瞬苦しかったが、バイロインもそれを受け入れてグーハイの好きなように緩急を入れる。
バイロインの本気度が高まっていった瞬間、グーハイはその行為を止めさせる。
「...どうしたんだ?」

バイロインは少し咳き込みながら顔を上げる。
「トイレ…」
グーハイはそれだけ言い残すと、一目散にトイレへと駆け込んだ。
バイロインはこの時間を利用して部屋を暗くしていく。人目につかないようにカーテンもしっかりと閉めた。


バイロインがベッドに戻った瞬間、突然三発の銃声が部屋の中に響いた。

軍人の素養を備えたバイロインは、素早くベッドに伏せて低姿勢をとる。
その隙を狙って、一人の男がバイロインへと覆い被さり、彼の両腕を手錠で拘束した。
バイロインは状況が読めずにいたが、本能のままに体を捩って自分を押さえつけた男を見上げる。...すると、そこにはグーハイが自分に跨って笑っていた。

「何だぁ?バイ隊長はベッドの上での行動が早い様子でいらっしゃるなぁ。どうした?襲われた時の備えで練習でもしてたのか?」
グーハイの有り得ない行動に顔を真っ赤に染め上げ、バイロインは誰もが恐怖する恐ろしい双眸で目の前の男を射抜く。

両腕はまだ錠をかけられているが、バイロインは強い口調で捲し立てる。

「グーハイ!お前は本当に最低だな!...今日は俺が上でいいって言っただろう!」
「あ?そうだったか?...お前が軍服を着てプレイをする、の間違いじゃないのか?」
バイロインは激しく歯を軋らせる。

「やるにしても俺のその制服はやめろ!汚れるのだけは駄目だ!」

どれだけ凄んでも、グーハイには何も届いてなさそうだった。

「あーー?なんでそんなに怖い顔してんだよ」

その一言でバイロインの沸点は頂へと到達し、外にも聞こえるような怒鳴り声をあげる。

「おい!誰かこっちに来い!!ここに不敬な輩がいるぞ!!!!」

バイロインが外に呼びかけをしても、グーハイは動じずに、むしろゆっくりと弧を描く。

「呼んでみろよ。...何なら、見られながらプレイでもするか?」

グーハイの強気なその一言に、バイロインはしばらく黙っていた。

 

 

暫くして、バイロインはグーハイの言う通りに肌の上から直接軍の制服を着て立っていた。

制服から覗き見える腰のラインが、いっそう野性味あふれる魅力を惹き出していた。

ーーやっばいな...

グーハイはいつより興奮していた。

そのせいか、彼はほぼバイロインの身体全ての箇所を全部噛んでいた。まるで傷跡にも見えるその印は、バイロインの全てを覆い、誰のものかを証明するような輝きをみせていた。
グーハイは少しぐったりとしているバイロインをうつ伏せにし、上半身をベッドに伏せて、下半身を自分の方へ向けて地面に立たせる。

「...いいよな?」
その言葉を皮切りに、グーハイは自慢のデカブツをバイロインへと突き挿す。

「あッ!!!あっ...」

バイロインは体勢から来る羞恥心と快楽の狭間で揺れ動きながら、口を無意識に開いてしまう。

ーーせ、せめて制服は脱がないと...

そうは思っても、グーハイがそれを許さずに決してズボンを太ももより下には降ろさなかった。そのせいか、グーハイの方を見るたびに鮮やかな軍緑色がバイロインの視界に入る。

 

やがて二人は完全な快楽の状態へと入る。

バイロインは必死にシーツを引っ張り、ぎゅっと皺を寄せる二本のまっすぐな眉毛が、彼の今の幸せを表していた。

 

こんこん…

 

ノックの音がする。
すると、慣れた声が飛び込んできた。

「隊長...?先ほどは助けを求めていましたか?」

声から誰かは想像できなかったが、先程の怒号を聞きつけ、部下が駆けつけてきたらしい。

ーーくそっ。今さら来たのか!!

バイロインは心の中で愚痴をこぼす。

グーハイに犯されている状態から抜け出せず、バイロインはそのまま無視をし続けることにした。

「隊長?元気ですか?」

しかし、その声は続いて聞こえてくる。

「...お前の部下が俺をの様子を伺ってるみたいだな」
グーハイはそう言ってニヤリと笑うと、ペースを早めてバイロインへ強く打ちつける。

ーーくっ...そ!!

バイロインは苛立ちを覚えるが、どうしようもできずにただ睨みつける。

「ほら、早く返事をしないと」

耳元でそう呟くグーハイ。
「いや…」バイロインは歯のすき間から言葉を絞り出す「あ、と……」

バイロインが口を開くたび、グーハイはバイロインが一番気持ちいと感じる場所へと刺激を強めた。

「くぅッ...はや、く。早く帰れ!大丈夫だ!」

なるべく平常を装った声で扉へと叫ぶ。

「隊長?大丈夫なんですか?」
ーー早く帰れよ...
バイロインが「ああ、大丈夫」と言いかけたばかりで、グーハイはまた快楽のスピードを上げだして黙らせる。

「...!!?」

そのせいでバイロインはそれ以上言葉を紡げなかった。


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こんばんは!お久しぶりです!

もう暫く更新できていなくてすみません!就職も決まったので来年度からの更新は厳しくなりそうです。なので、それまでに全部更新できたらなぁとは考えております!

 

そして今日は10月31日!ハッピーハロウィンですね!

皆さんの楽しい夜の一部になれたら嬉しいです!笑

:naruse